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ちらりと前に座る碧を見れば、目が合って。
彼は優しく微笑んだかと思えば。
「お嬢、人参大好きでしたよね。俺の全部あげます」
碧は自分の器から人参をスプーンですくって、それをわたしの器へと入れた。
それも1つじゃなくて、3つも。
今日の夕飯は、野菜たっぷりのポトフ。
わたしの器にあった人参は、1つだけだったのに……合計で4つになってしまった。
昔から、人参は好きになれない食べ物。
カレーに入っている人参は食べやすいけど、それ以外はどうしても苦手で。
ずっと一緒にいる碧も、それはもちろん知っていることだろうに……なんて嫌がらせをしてくれたんだっ!
「碧、行儀が悪い!」
翔琉さんに怒られる碧。
「お嬢が俺の人参をほしそうに見てたから、つい」
彼は全く反省せず、それだけ言うと黙々とご飯を食べた。
別にそういう目で見てたわけじゃないのに……!
ただ、ボールでぶつけた鼻は大丈夫なのかなって思っただけで……。
「お嬢、人参は俺がもらいますよ。でも1つは自分で食べてください」
自分の器を出してくれる、優しい翔琉さん。
でも、わたしは。
「だ、大丈夫、自分で食べるから」
そう返して、頑張って人参を食べた。



