……碧がよそ見なんて珍しい。
鼻の骨、折れてたりとかしないかな……大丈夫かな。
不安は募るばかり。
「心配なら茉白ちゃんも行っておいでよ」
健くんもステージの上からおりて、とんっとわたしの背中を押す。
行っていいのだろうか。
授業中だし、わたしは付き添いを頼まれていないのに。
「せんせー、茉白ちゃんが頭痛いそうですー」
行きたいけど『行ってくる』となかなか言えずにいれば、わたしの肩に手を添えて健くんは大きな声を出した。
あ、頭が痛い!?
わたしが!?
『頭なんて痛くないよ』、と言いそうになったが、その言葉は飲み込んだ。
そう言ってくれたのは、わたしが保健室に行けるようにしてくれているからだとわかったから。
確かに、仮病を使えば保健室に行って碧の様子を知ることができる。
わたしはすぐに具合が悪いフリをした。
「茉白ちゃん茉白ちゃん、おさえてるとこ頭じゃなくてお腹だよ」
小さな声で、くすりと笑った健くん。
わたしがとっさにおさえたところはお腹。
そうだ、健くんは『頭痛いそうですー』って言ったんだった。
お腹ではなく、慌てて頭をおさえてた。



