お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



ティッシュ……!
ティッシュなら、確かここに……!


わたしはステージの上からおりて、ズボンのポケットの中からポケットティッシュを取り出して。

それを碧に届けに行こうとした、時──。




「あ、あのっ!!よかったら、これどうぞ……っ!!」


碧のもとへと駆け寄って、ポケットティッシュを差し出した、メガネをかけたおさげの女の子。

わたしはピタリと足をとめた。


「どうも」


碧はそれを受け取って、ティッシュで鼻をおさえる。


「小鳥遊、大丈夫か!?」


男性の先生もすぐに碧のもとへと駆け寄るが、彼は。


「すみません。思いっきりよそ見してました。保健室行ってきてもいいですか?」


淡々と先生に告げる。


「じゃあだれか付き添いを──」
「1人で大丈夫です」


「でも1人じゃ──」
「本当に大丈夫です。1人で行ってきます」


すたすたと歩いていく彼。
……1人で行かせるなんて、すごく心配だ。


「小鳥遊はあぁ言うが……付き添いで行ってもらってもいいかい?」


先生がそう言ったのは、ティッシュを渡した女の子。


「は、はいっ!!」


その子はすぐに返事をして、走って碧の後を追った。