お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「鷹樹さん、今すぐそいつの汚い手を離してください」


碧に注意されるけど、それを無視して。
なにか起きる前に凛ちゃんと健くんの腕を引っ張って、わたしは教室へと向かった。


「茉白いいの?小鳥遊くんは」


階段を上っている途中で凛ちゃんに聞かれるけど、わたしは一切後ろを振り返らずに「いいの!」と答える。


「っていうか小鳥遊くん、茉白の保護者……というか、害虫を追い払う番犬みたいだった!大切にされてるんだね、茉白は!」


凛ちゃんはふふっと笑うと、反対側にいる健くんは「凛ちゃーん、その“害虫”っていうのは俺のこと?」と聞く。


「もちろん!」
「害虫かー。そしたら俺は蚊がいいなぁ。おもしろそうなやつの血だけを吸って生きていけたら最高じゃん?それに、殺されるかもしれないっていうスリルを味わいながら血を吸うとか超楽しそう」


「健一郎って相変わらず一般人には理解できない考えしてるね」
「そう?」


「昔からそうだよ」


仲良く2人で話している。
……昔からってことは、凛ちゃんと健くんは前から知り合いだったってこと?