「ごめん、なれなれしいよな? みおちゃん、でいい?」


 ちゃん付けは、なんだか恥ずかしい……。でも、まぁいいか。私は、倉橋くんの言葉に頷く。恥ずかしいけど、彼の顔を見ないと言っていることがわからないから頑張って彼と目を合わせた。


「俺のことは、哉斗って呼んで」


 私はメモ用紙を取り、ペンを持って私は返事を書いて彼に見せる。


【かなとくん、って呼びます】


 哉斗くんの反応が怖かったけど、頷いてくれて少しだけ安心した。

 話したのは5分も経たない時間で、名前だけを知っただけだけど……さっきまでの不安で沈んでいた気持ちが、少しだけ溶けたのが分かった。