【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。



「じゃあ、桜園とその里村ってやつが悪いんだな」

「そうだ」

「潰すわ、そいつら。桜園の兄は俺と同じ大学だし、俺が状況を聞く。哉斗は里村を頼むよ」

 急に名前呼び……しかも呼び捨て。

「で、親父は会社のことよろしく頼む。潰すなりしてくれ、里村は……退学させろ」

「央翔、勝手に決めるな。だが、お前は調査頼む」

 それから1週間後、央翔さんの桜園の兄への調査で分かった数々のこと。

「は? 婚約者じゃなくて、婚約者候補?」

「あぁ、桜園弟には許婚がいる。家元の娘・藍本明日香(あいもと あすか)」

 藍本というと茶道界ではトップだ。それに次期当主の藍本伊月(あいもと いつき)は、抹茶を使用したレストランやカフェを経営している。
 桜園は飲食チェーンを展開する食品会社の御曹司で、現在会長職をしている彼の祖父と藍本家の先先代が友人同士らしい。

「それを知った藍本家は大切な孫娘が傷つけられたと激怒している。一方で桜園は社長がその対応に追われてる。だが、弟は里村と結婚する気満々」

 うわぁー……すごいな。
 
「里村は美央に手紙送っておきながら結婚する気満々。おめでたいカップルだ。……あ、美央のこと伏せてるから大丈夫」

「そうか、次は哉斗くん。里村もものことよろしく」

 里村もも……本当に許せない。

「はい、お任せください」

「哉斗くん、よろしく頼むよ。こちらも準備を進めるから終わった時連絡して欲しい」

「分かりました」