「美央、話があるんだ」
お父様はゆっくりと話す。
『何?』
「メイドの佐倉から届いた手紙を見させてもらった」
え? あの手紙?
「結論から言う。美央と哉斗くんは婚約破棄はしない」
『でも! 哉斗くんには、好きな人が……』
「それは、本人から聞きなさい」
え? 本人って哉斗くんから、ってことだよね?
無理無理! それに、あれからずっとLINEもしていかいよ……。
『私、無理ですっ! 哉斗くんには幸せになってほしい』
「やっぱり、美央は誤解しているよ。しっかり、哉斗くんの話を聞きなさい。それを聞いて、それでも婚約破棄したいならそうしよう」
お父様はゆっくりとそう言えば、リビングの扉を開ける。入って来たのは制服を着ている……哉斗くんだった。



