「いや、よく見てみろ。隣にいるの桜園(さくらぞの)だよ」
「あー……落ちたわけね」
桜園は名家のご子息で小学校からの仲。とっても可愛い子に弱いことで有名だ。可愛い子に頼まれたら、いつも頷いてしまうしニヤける分かりやすい男だ。
まさか、噂されていた婚約者とは里村だったのか。
「だけど、何か探してるんだよ。それはお前と美央ちゃんだ」
「海斗が美央ちゃんの名前呼ぶな」
「ヤキモチ? ……あ、気づいたかも」
その声と同時に派手なピンク色でヒラヒラしているワンピースを着た彼女が俺らの方へ向かってくる。なんで来るんだ!
「哉斗くーん! 哉斗くんも来てたんだねぇ」
来るに決まってんじゃん。こいつ、俺が五十嵐家の令嬢と婚約してることを知らないのか……?
「そりゃ来るよね、倉橋くんは」
「桜園か……こんばんは」
「倉橋くんは。ご令嬢の婚約者だもんね」



