【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。




『……見たい?』

 見たいと思ったらすぐに哉斗くんはそう私に聞いた。私は素直に頷く。すると、哉斗くんは興奮したように手話で表す。

『本当!? 外、一緒に行ってくれる?』

『うん。哉斗くんが良かったら……』

 哉斗くんは私の手を握ると、ゆっくり「もちろんだよ!」と言った。そんな彼が面白くて笑ってしまった。

『笑っちゃってごめん、哉斗くん』

『美央ちゃんは、笑ってた方がいいよ。可愛い』

 ……!? また、可愛いって言った。哉斗くんの口癖なのかな。

 哉斗くんが甘い言葉を言うたびに私の心臓はドキドキと音を立て、身体も熱くなるからやめてほしい……っ!

『行こうか、でお弁当も食べよう』

『うん。よろしくお願いします!』


 私は哉斗くんに笑いかけると、彼はプイッと顔をよそを向いた。顔は見えなかったが、耳たぶがほんのり赤く染まっていて可愛く見える。
 哉斗くんはブツブツと下を見て何かを言っていたが、私には何を言ったのか分からない。

 それを『何?』と聞いたけど哉斗くんは教えてくれないまま、彼と歩いて外へ久しぶりに出た。