それだけ言って哉斗くんは、急足で帰って行ってしまった。ふと、哉斗くんの顔を見ると何故か耳たぶが赤くなっていて不思議だった。
それから翌日。
「『どこも』異常はございませんよ」
『ありがとうございます……でも、ドキドキするんです』
そう、あの日から私の心臓は変なのだ。
なんでか、哉斗くんのことを思うと心臓がぎゅ〜っとなってドキドキして……苦しい。
「ふふっ美央様もすっかり『乙女ですねぇ』」
『何を言ってるんですか! 私、悩んでるんです!』
「そうねぇ……言えることは『異常はないから大丈夫ってことね』」
でも、じゃあ……なんで苦しくなるんだろう。
「あとは『美央さまが自分で答えを見つけるべきだと思うよ』じゃあ、またね」
『分かりました……』
自分で、ってどうすれば……?
不安だけど異常がないなら大丈夫なのかなぁ。でもお医者様が言っていた“答え”がなんなのか考えてみても見つからなかった。



