そういえば、彼女らはどうなったのかは私にはわからない。
 だけどお兄ちゃんも哉斗くんも「美央は知らなくていいんだよ」と笑って言うものだから何も聞けなかった。だけど彼女たちの親の会社は危ない状態になっていると海斗くんがそっと教えてくれた。

 だからうまくいくと思ってたのに……とモヤモヤしていると部屋の扉から哉斗くんが入ってきた。


『美央、こんにちわ』

『こんにちわ、哉斗くん』

『今日はパンケーキをテイクアウトしてきたよ。一緒に食べよう』


 そう言ってテーブルに置いた哉斗くんは私のいるベッドに近寄ってきて頭を撫でる。
 私は猫ですか……と問いかけたいくらい撫でられてムスッとすれば哉斗くんはおでこにチュッとキスを落とした。


『今日も可愛いね』

『また、そんなこと言って……!』

『怒ってる美央も可愛いよ。パンケーキ食べよう、ソファーまで抱っこするね』


 そう言った哉斗くんは慣れたように私を持ち上げる。そういえば、海斗くんがいるじゃんと思ってキョロキョロすると彼の姿はなくて代わりにメイドが紅茶のポットとカップをカートに乗せてやってきたところだったらしく、私を見てニコニコ笑っているじゃないか。

 そう思ったら、私は恥ずかしくなって顔に熱が集中しはじめた。絶対、顔赤い!
 抱っこは何回されても慣れないよ。