ホテルに戻り榎本の部屋に向かい、インターホンを押した。すると「はーい」と榎本が出てきた。


「海斗くん、倉橋くん……あの、ちょっと、美央、会いたくないって」

「……っ……」

「あ、勘違いしないで。倉橋くんのこと、嫌いになったわけじゃないんだよ」


 榎本は「ごめんね、だから……」と言って部屋の中へ入ろうとドアノブに手を添えた。


「沙知、これ哉斗と買ったから。美央ちゃんと食べて」

「……え、いいの?」

「うん。な? 哉斗」


 俺は頷くと、海斗に先戻ると言って部屋へと戻る。やることもなく、ベッドに横になると眠ってしまった。