二色くんと夜のせい









机の上に下ろした鞄を枕代わりにして上半身を倒し、窓際にある、まだ空いている綺春くんの席をぼんやりと見つめる。


綺春くん。



声には出さず、心の中でその名前を紡ぐ。

綺春くんがはじめてわたしだけにくれたトクベツ。何度でも呼びたくなる、愛おしい名前。




「好きだなぁ……」

「……飽きないね、ホント」



​───ぽつり、零れ落ちた声に反応が返ってきた。


やわらかい、大好きな声。バッと勢いよく顔を上げると、そこには綺春くんが立っていて、視線が交わったと思ったら不自然に逸らされた。