「あと、兄ちゃんの頼み、そんな正面からかなえようとしなくていいからね。兄ちゃん空気読めないから恋那のこと邪魔したりするかもだし」



はぁ、とあきれたようなため息を吐く咲くん。

まだ中学生なのに、わたしよりよっぽど周りを見ていて、重いやりがある優しい子だなと思った。



咲くんが言っている「兄ちゃんの頼み」というのはつまり、わたしと三船先輩が交わした交換条件のことである。買い出しに行っている間に三船先輩から話を聞いたのだろう。



「大丈夫だよ咲くん!アオちゃんが三船先輩と仲良くなってくれたらわたしも嬉しいもん」


綺春くんの幼少期の写真とエピソードを教えてもらう代わりに、三船先輩に頼まれたこと。


それはずばり、アオちゃんと関わるきっかけ作りを手伝ってほしい、ということである。