​────昨日のこと。


綺春くんが策士(正しいイントネーションは教えてもらった)だって話をしてから数分経った頃、買い出しを終えた三船先輩と咲くんが帰って来た。


「いちごみるく買って来たぞ綺春ぅ」

「ありがとう」

「おう、いいぜ。あとシュークリームもある」

「…エクレアが良かった」

「綺春おっっまえ……エクレアもあるけどな!」

「さすが」

「棒読みなんよ……」



三船先輩と綺春くんのやりとりを見ながら甘党な綺春くんかわいい好き……と幸せを噛みしめていると、「恋那」と咲くんがわたしにしか聞こえない声量で名前を呼んだ。




「僕、応援してるからね」

「え?」

「綺春くんのこと。手強いって思うかもだけど、極度のめんどくさいツンデレなだけでしょ、あれってさ」


だから大丈夫。そういって親指をグッと立てられる。

“好きな人の幼馴染の弟“から応援される恋路になるなんて、綺春くんを好きになったころは思ってもみなかった。

なんだかおかしくて、だけど同じくらい心強かった。