「てか別に呼び捨てしたいなんて言ってないしね、おれ」
「で、でも呼びたそうな感じが……」
「木嶋さんの思い込みでしょ」
「うっ……」
思い込み、なんて言われたら何も返せないじゃないか。
ふいっと目を逸らされて、二色くんの視線が再び雑誌に向けられる。
せっかく二人きりなのに、いつもと変わらずわたしだけが二色くんの気まぐれに振り回されただけだ。
二色くんはやっぱり手強い。
直球で好き好き言うだけじゃこのまま一生振り向いてくれないような、そんな漠然とした予感がする。
……そんなのやだな。二色くん、わたしのこと見てほしいよ。振り向いてよ、好きになってよ。
雑誌をパラパラと捲る二色くんの姿を見つめながら、わたしのなかでは 「好き」にしか変換できない感情がどろどろと溶けていく。
二色くんに振り回されてるだけじゃ、きっとわたしを好きになってはくれないんだよね。
わたし、どうしたら二色くんの意識を奪えるのかな。
ねえ、二色くん。
「……綺春くん、」



