「……二色くんも、わたしのこと、呼び捨てにしますか」
三船先輩と咲くんがわたしを呼び捨てにしているのは、ただの成り行きだ。そこにやりとりがあったわけじゃない。
友達が、気づいたら友達になっているのと同じ感覚で、気づいたら呼び捨てにされていただけのこと。
二色くんが少しだけフキゲンになっているのはそれが原因だって、期待してもいいかな。
わたしが一番名前を呼んでほしいのは三船先輩でも咲くんでもないって───二色くんだってわかってるくせに。
「しないよ」
「…え、っ」
言葉を零そうと口を開こうとした時。二色くんの指先が伸びてきて、口元に人差し指が当てられた。
二色くんの指先がそっと唇をなぞる。
驚きと緊張で、わたしは言葉を詰まらせた。



