二色くんと夜のせい





「ていうか木嶋さん」

「え​───…んえ?」

「呼び捨てされるくらい椿と仲良くなったの?」



不意にムギュ、と頬を挟まれた。これが結構痛いのだ。唇が前に突き出てしまって、いつもに増して間抜け顔。



「む、うぅ……?」

「……咲までしれっと呼び捨てしてたけど。なんなの、どういうこと」


二色くんの言っている意味が全然分からなくて目を瞬かせるも、「もういい」と言われてしまった。

パッと手を離されて頬が解放される。離れていく温度が、どことなく寂しい。


全然良くないよ。だって二色くんの言ってること、意味わかんないんだもん。



「に、二色くん」

「なに?」

「わたしバカだから……、そういうの期待しちゃう」



三船先輩と咲くんがわたしを呼び捨てにすることは、なにか二色くんにとって都合が良くないことなの。



「……じゃあもっと期待すればいんじゃない?」



二色くんは​───どういう気持ちでそれをわたしに伝えてるんだろう。