二色くんと夜のせい




―――コンコンコン。


三船先輩の家にお邪魔してから30分ほど経った頃。

3回のノックの後、開いたドアからひょっこりと咲くんが顔をのぞかせた。


アルバムを見ながら雑談をして盛り上がるわたしと三船先輩、ベッドに転がって雑誌を読んでいた二色くん。


その構図を見てすぐ、咲くんが表情を曇らせた。




「兄ちゃん……僕、ちゃんと助言してあげたのに」



ぼそりと何かを呟いた咲くんの声は、耳に届く前に空気に溶ける。


「兄ちゃんちょっと」

「え?咲どうし、」

「お客さん来てお菓子のひとつも出さないのどうかと思うし買い物行ってくるね綺春くんと恋那は留守番よろしく、それじゃ」



部屋の中に入って早々三船先輩の腕をつかんだ咲くん。


早口でそう言うと、「咲ぅ!?」と訳も分からず声を上げる三船先輩をずるずると引きずって部屋から出て行ってしまった。

お構いなく!すら言う暇がなかった。