二色くんの前の席に座っているのはうちのクラスのムードメーカー的存在の男の子で、窓に寄りかかるように椅子に座りながら二色くんとなにやら楽しそうに話をしている。


二色くんは友達が多いわけでもなければ全然いないわけでもないから、同性に対してはわりとフラットなコミュニティを築いていると思う。

……女の子には、相変わらず1線も2線も引いているみたいだけど。



「ねえ、見惚れてないで早く委員会行きな? 遅刻するよ」

「うっ」



数秒二色くんを見つめて惚けていたらアオちゃんから厳しいひとことが降って来た。

「今行くよぉ……」と弱弱しく返事をし、わたしは筆記用具をもって教室を出た。