二色くんと夜のせい





あと1歩​──のところでつまづいて転びかけたところを二色くんが受け止める。

不意打ちの近距離に二色くんの香りがぶわあって鼻を支配して、危なく鼻血が出そうだった。



「こら、昇天しない」


ぺしっと額を軽く叩かれて現実に引き戻される。

ぱちぱちと瞬きを2回。二色くんの呆れた顔が近い。おまけに恒例のため息まで。


危ない危ない。幸せの過剰摂取で意識がどっか行っちゃいそうだった。



「ふふっ。二色くん、今日はよく会うねえ」

「ストーカー疑ったね、今日はさすがに」

「してないよ!?」

「はいはい」



あ、この流れ。


二色くんが車道側にさりげなく移動して、ひとりで歩いている時よりも速度を落としてわたしの隣に居る。


まだ聞く前だけど、一緒に帰っても良いよっていう合図。二色くんのA´の答えだ。