───わたしが綺春くんにされてうれしいことと言えば。




手を繋ぐこと、キス、ハグ、添い寝。
デートは外でも家でも嬉しいこと。



壁ドンも顎クイももう時代じゃないけど、綺春くんにされたら結局キュンってしちゃう。

……まあ、綺春くんがそんなことするとは思えないけど。




わたしの大好きな人は、さらさらの黒髪がよく似合う男の子。


いつもどこか気だるけで眠そうにしているけど、頭の中は飼い猫のチョコちゃんと、甘いものと、わたしのことばっかり……って、本人が言っていた。



男の子と話していたらヤキモチ妬いて拗ねたり、いつもはずっと名字予備だったのに不意打ちで呼び捨てにしたり、不可抗力でキスしてきたり。


ずるいよね。好きだなぁ。




照れ隠しとか、素直になれないとか、前までのわたしはあんまり好みじゃなかった。


だって愛情って、本人に届けてこそ成り立つものだと思ってたから。

好きって通じ合わないと恋は始まらないし、なんだかんだ素直がいちばんなんだ。







でも────…綺春くんだけは、トクベツだから。




「はあ綺春くん今日も大好き尊いありがとう世界に感謝!」

「うわー…なんかうるさいの来た、逃げよ」

「逃げないで! 置いてかないで!?」





素直すぎるわたしと全然素直じゃない綺春くん。


真逆すぎて笑えちゃうけど、晴れて恋人同士になったりなんかしちゃったり。