「…わたしも大好きなの、綺春くん」
「知ってる。でも、おれのほうが好きだと思う」
「ううぅ、わたしの愛をなめてもらっちゃこまる…っ」
「どうかな。おれ結構めんどくさいからね、知ってるとおもうけど」
「わたしだってわがままで───っ、」
「わがままなとこも全部好きだから、いいよ」
全部言い切る前に、唇を塞がれた。
咄嗟に目をつぶり、綺春くんのネクタイを握りしめたまま固まる。
数秒重なった後ゆっくり唇を離した綺春くんが、わたしの涙をすくうように目尻にもやさしくキスを落とした。
「おれ、恋那じゃないとだめみたい」
ふは、と綺春くんが柔らかくわらう。
二度目のファーストキスは、綺春くんの熱が恋しくて愛おしかった。