「……っ、好きだから、もっと触れたいの…っ」
いちばん近くできみを感じたい。
自分でもわかるくらい熱くなった顔。
恥ずかしくて逃げたいけど、もう全部今更だ。
ネクタイを強くにぎりしめ、綺春くんを見つめる。ぐぐぐ…と顔を近づけようとしたら、綺春くんの大きな手がわたしの口を覆った。
「、わかったから、まって、」
「うぐ」
「その前に、おれの話、最後まできいて」
綺春くんの、黒髪から覗く耳がほんのり赤い。目が合って、逃げられなくなった。
好き、好きだよ綺春くん。
どんな言葉を並べるより、そういうしか方法がないくらい、わたしはきみのことが好きなんだ。
「木嶋さん」
ねえ、綺春くんはわたしのこと───…
「おれ、木嶋さんのことが好き」
きゅっと唇を噛み、わたしは何度も瞬きをしながら綺春くんを見つめた。
こみ上げてきた涙がぼたぼたとあふれ出す。口元を覆っていた手がゆっくりと離れて、わたしの涙をやさしく拭ってくれた。
「すきだよ、木嶋さん」
「……っ、」
「待たせてごめんね、……ずっと伝えてくれてうれしかった」
ぎゅうっと強く抱きしめられて、綺春くんの香りが強くなる。
ああなんか、幸せすぎておかしくなりそう。