当然のことながら、記憶にないそれがわたしにとってのファーストキスだったわけで。
だんだんと冷静さを取り戻すと、もう一度、今度はちゃんと意識がある時にしてほしい───なんて欲望に駆られる。
「…、綺春くん」
「うん?」
「……今、もう一回してほしい」
綺春くんの眼が開き、「は?」と声が洩れた。
言いだしたからには恥ずかしさに負けるわけにもいかず、わたしは綺春くんのネクタイを引っ張った。
「は、いや、待って木嶋さ、」
「っ、嘘じゃなかったって信じたいの!」
必死なの、こんなにも。
綺春くんのことになると勢いに任せてでもどうにかしたいって思っちゃうの───だって、好きな人だから。



