「……やっぱ、戻って来てよかった」
え と、綺春くんの言葉に固まった。
周りの音が全部消えて、綺春くんの声だけが鮮明に耳に届く。
綺春くんがわたしの元にやって来て、目の前で立ち止まった。綺麗な顔に光が差し込んで美しさが増している。
「なんで……泣きそうになってんの」
感情とともにこみ上げてくる熱が、もう、そこまで来ていた。
「…綺春くん、もう帰ったとおもって、」
「うん、でも戻ってきた」
「なんで……」
「……木嶋さん、放課後の教室とか好きそうだなって思ったから」
ねえ、わかんない、綺春くん。もっとちゃんと言葉にしてくれないと、わたしわかんないよ。
綺春くんの指先が伸びてきて、わたしの髪を耳に掛ける。
やさしい手つきに、どき……と心臓が跳ねた。



