なんでおれは上手くできないんだろう。
どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
「まあいくら考えても恋那とふたりで話さないと解決しないと思う、僕は」
「…ん、わかってる」
「綺春くんのわかってる、ってさ、頭ではわかってるけど行動できない、の意味だよね」
……咲ってホントに中学生?
椿の弟とは思えないくらい達観しているし、言っていることが全部確信をついてくる。
「綺春くんもさ、兄ちゃんくらい直球になってみたらいいんじゃないかな。清々しくて気持ちいいよ、あそこまでいくと」
「……たしかに?」
「あ。それはちょっと嫌かもって思ったでしょ今」
「心の中読むのやめて、咲」
苦笑いを浮かべると、「ランクあがったー」と言ってようやくコントローラーを離した咲が、おれを見てけたけたと笑った。
話しながらランクはしっかりあげてんの、やば。
「応援してるよ、僕はふたりのこと」
「……ありがと」
「ところで綺春くん何しに来たんだっけ」
「いや、なんか椿に『重大発表あるから』って呼ばれたんだけど……」
「ああ、それ多分兄ちゃんがアオちゃんさんと付き合い始めたことの報告だよ。惚気られるだけだから早めに逃げた方いいよ」
「じゃあ帰る」
そのあと、狙ってるのか疑うほどのタイミングで椿が帰ってきて───戸羽さんとの馴れ初めを1時間聞かされた。