そんなことを思っていた矢先に、偶然木嶋さんと久保が一緒に歩いている姿を見つけた。
クレープ屋さんから出てきて、楽しそうになにか話をしている。
一年生の時に同じクラスだったので、久保のことはよく知っていた。
フレンドリーで爽やかで、友達が多い。悪いうわさもあまり聞かない。おれみたいに、顔だけが独り歩きしていない、生粋のモテる男だと思う。
木嶋さんと並んで歩く姿はバランスが取れていて、お似合いだと思った。
自分が抱えているもやもやとか黒い感情とか恐怖が全部押し寄せてきて、おれは。
「多分、おれじゃなくてもいいんだと思う」
───感情のままに言葉を放って、木嶋さんを傷つけた。
「……ひどいよ、綺春くん」
はっと口を覆った時にはもう手遅れだった。
違う、そんな顔をさせたかったんじゃない。
間違えた、本音じゃなかった。
否定しないといけないのに、背を向けて走り出した彼女を、おれは引き留めることができなかった。
泣いていた。悔しそうな、悲しそうな、そんな表情。傷つけてしまったのだと嫌でも自覚した。



