「わ、わかったよ二色くん!ママに電話するからちょっと待ってて!」
「……」
「どこにも行かないから!ね!?」
二色くんに腕を掴まれたまま、ポケットからスマホを取り出してママに電話をかける。デジタル時計は20時50分を記していたので、門限は既にギリギリだった。
ママに、もうマンションのエントラスンスに着いていることと、隣の部屋の二色くんと会ったこと、猫を探さないといけない事情を話すと、
「そういうことならママも手伝うよぉ」
と言ってくれた。怒られずに済んだ、良かった。
「二色くん!ママが来て一緒に探してくれるって!」
「……、ありがと」
……キュン。
クールで近寄り難い二色くんの弱った声にドキドキしてるの、わたしってばちょっと変?
安心したのか、二色くんはわたしの腕から手を離すと半人分の距離をとった。
それが、ちょっとだけ名残惜しかった。



