「寒そうですが大丈夫ですか……、あ、あと、なにか探し物ですか…? あの、よろしければ家まで一緒に、あのー……ですね、帰ったりなんかしちゃったり」
今になって冷静に思い返せば、木嶋さんも夜道を歩くのが怖くて、たまたま見かけた隣人のおれと一緒に帰りたかったんだろうなというのはなんとなくわかる。
けれどその当時、おれは自分のことで精一杯で、ただただひとりでチョコを探しに夜を旅する恐怖から解放されたかったのだ。
ネコがいなくなった。
そう言えば、木嶋さんは驚いたあと迷うことなく「わたしも一緒に探します!」と響く声で言ったのだった。
「あの、ただわたしちょっと門限があるので、一旦荷物だけ置きに帰ってもいいですか!? あの!猫ちゃん見つけたいんですけどママに怒られるのも嫌なのです!」
頭の中で考えていること全部言葉にしてるのか? ってくらい素直な言葉に、おれはどうしてかすごく安心してしまって、衝動的に彼女の腕をつかんでしまった。
人に会えた安心感を手離したくなかったのは確かだけど、それよりも単純に、彼女にそばにいてほしいと直感で思ったのだ。



