木嶋さんと初めてまともに会話をしたのは1年生の冬のこと。



飼い猫のチョコが、また気まぐれでいなくなった。チョコがいなくなること自体は頻繁にあることだけど、問題はその時間帯だ。


昼間なら探すのも苦ではないのに、夜となると話は別。


幼少期のできごとがトラウマで暗闇がにがてになってしまったおれは、両親がいない夜もチョコがいてくれるから越えられていたのに、チョコがいないのでは家も外も変わらず怖い。


意を決して探しに出たけれど、外は寒いし暗いし怖いしで足がすくみ、軽くパニック状態になっていた。



「こ、こんばんは」



そんな状態の時、木嶋さんと会ったのだ。