二色くんのトクベツがほしい。


そういう彼女に「下の名前で呼ぶ」って、たったそれだけのトクベツをあげたら、木嶋さんは泣いていた。



名前で呼んでいいって言って泣く人なんかみたことない。


いくらなんでもおれのこと好きすぎるでしょ。


そう思いながらも、この子にお願いされたらトクベツなんかいくらでもあげるのに───もらってほしいのに、って。



木嶋さんの涙をすくった時、内心そんなことを願っていた。