綺春くんとわたしの関係は、良いか悪いかで言ったら確実に良い方向に進んでいると思っていた。
付き合ってはいないし、好きだとも全然言われていないけど、嫌われていることはないって自分でも自覚できるくらいには距離を縮めているつもりだった。
綺春くんのとくべつを貰って、綺春くんがにがてなものの話をきいて、同じ布団で夜を越えて、時々電話をするようになって。
夢のような時間ばかりを過ごしているうちに、わたしは自惚れてしまっていたのかな。
「木嶋さん、感覚麻痺してきてたのかも」
「……え、?」
綺春くんのことが好きなんだよ。きみ以外もう考えられないのに、やっぱり綺春くんには伝わってなかったみたいだ。
「多分、本当はおれじゃなくてもいいんだと思う。木嶋さんにはもっと良い人が──……」
幸せだったのが嘘みたい。
期待したのもバカみたい。
わたしの恋心全部、きみに否定される日が来るなんて思ってなかった。
「…………ひどいよ、綺春くん」
「好き」が伝わらないのって、想いが通じ合うよりずっとずっと苦しいんだって────こんなの、知りたくなかったよ。



