「え、綺春くん!」
振り向くとそこにはもう何時間も先に帰っていたはずの綺春くんがいて、会えると思っていなかったわたしは嬉しくて思わず駆け寄った。
綺春くんは意外とアウトドアだから、空が明るいうちは買い物とか散歩とか結構行くみたい。
「綺春くん、買い物してたの?」
「うん」
「わたし今日広報誌が終わってね!同じ医院の人と今クレープ食べてきて───…」
「木嶋さんさ」
あまり聞いたことの無い低い声に、声を詰まらせる。空気が冷たくなったのを、わたしは確かに感じていた。
「べつに、もう無理しておれに好きって言わなくていいよ?」



