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「ありがとな木嶋! ホントお疲れ様……って待って、なんか髪になんかついてる」
「え? どこ……」
「あ、ううんこっち……はい、取れた」
わたしの髪に糸くずのようなものが付いていたようで、久保くんが手を伸ばしてそれを取ってくれた。
久保くんも結構モテているみたいだけど、フレンドリーさに加えてこういうさり気ないスマートさが女の子の心をつかむんだろうなあ……と他人事のように思う。
わたしも綺春くんから不意打ちで同じことされたらドキドキしちゃうもん。
「ありがとう」
「ん。じゃあ俺こっちだから!」
「うん、またね」
久保くんとは帰り道が真逆なので、そう言って駅で手を振ってわかれた。
おなかいっぱいだなあ、夜ご飯入るかなあ、なんてそんなことを考えながらひとり帰路についた───その時。
「木嶋さん、」
大好きな声がわたしを呼び止めた。



