綺春くんはもともととてもモテる人で、1年生の頃なんかは見かけるたびに告白されているような状態だった。
だんだん愛想もなければ見向きもしてくれないなら、と諦めていく女の子たちが多くなって、いわゆる「目の保養」として綺春くんのことを見ている人が大半になった。
それでも、わたしが綺春くんの周りをうろちょろしていれば影口が聞こえたし、廊下で通りすがりにわざとぶつかられたり、些細な嫌がらせを受けたこともあったのだ。
だから言葉にしないだけで綺春くんに恋をしている人はきっといっぱいいるんだろうなぁって、そんなことも思っていた───わけ、なんだけど。
「木嶋、最近女子から嫌味言われなくなったろ? 春頃とか酷かったもんなあ」
……言われてみれば確かに。
春に比べて綺春くんと登下校したり学校で話す機会が増えたりもしたけれど、陰口が聞こえることはなくなった。



