「じつはそうなの……えへへ」
「じゃあ綺春くんも呼び捨て?」
「手強くてそれはまだ…」
「ああ、まあなんとなく理由は想像できる。綺春くん天邪鬼だし」
相変わらず達観しているなぁ。すごいや、わたしよりずっと大人に見えちゃうもん。
「恋那と綺春くん、まだ付き合ってはいないんだね」
う、と言葉を詰まらせる。
まだ、という表現をしてもいいのかすらわからなかった。
ふとした瞬間に声が聴きたいと思ったり、優しさに触れるたびに好きだと思ったり。
そうしているうちにだんだん好きだと伝えるだけじゃ物足りなくなってきたり。
けれどそれはどれも伝えることで満足してばかりで、その続きを言葉にしてはいなかった。



