『木嶋さんさ……覚えてない?』



目をごしごし擦りながら問われたそれに、わたしは首を傾げた。


覚えてない? って、なにがだろう。


綺春くんに電話で呼ばれたことも、綺春くんが雷に覚えて抱き着いてきたことも、わたしの勘違いが原因で一緒に寝ることになったことも、ちゃんと全部おぼえている。


そう言えば、綺春くんは少し拗ねたように「そう」とだけ落とす。



『え、な、なんかわたしやらかしてしまった感じ……?』

『そーだね? うんそうかも、そうですね』

『えっ!?』