二色くんと夜のせい





これは、夢?


夢のなかじゃないとしっくりこないような、だけど今日の綺春くんはずっと甘かったから、もしかしたら現実かも、なんてすっかり働いていない脳で考える。



「……、恋那」



綺春くんが紡いだ、わたしの名前。

呼び捨てされるのは初めてだった。



ふわふわ、ゆらゆら。

綺春くんの柔軟剤の香りが鼻腔をくすぐる。その感覚も、とても心地よかった。



「…ふふ、すきだよ、きはるくん」

「……うん、おれも」



綺春くんの形の良い唇が動く。








「おれも……恋那のこと、好き」