「……抱き枕ないと寝れないから」
綺春くんがわたしを抱きしめている理由はそれみたいだ。
待ってなにそれかわいすぎない…? って言ったらべつにかわいくはないよって返される。いやいやかわいいんだってば、と心の中でだけ返した。
真っ暗だと怖いから、と言って綺春くんが普段から点けている枕元のオレンジ色のライトも相まって、顔が赤いことがバレてしまいそう。
綺春くんの胸元に顔を埋めると、ぎゅ、と身体を抱きしめる力がほんの少し強まった。
窓を打ち付けていた雨は、気づけば音が弱くなっていた。
わたしが綺春くんに電話で呼ばれた時がピークだったみたいだ。今はもう、雨音よりもずっと、どちらのものかわからない心音のほうが聞こえる。
ドキドキ、バクバク。
今日は、到底眠れそうにない。



