そんなことを思っていた時、ふと視界の先で見覚えのある人物を見つけた。
黒髪のマッシュヘアーにすらりとした手足、長身。眼鏡をかけているけれど、その奥にある端正な顔立ちは記憶にあるまま。
スウェットにトレーナーとラフな格好ではあるものの、真冬の夜には寒そうだ。
小刻みに震えながら、きょろきょろとあたりを見渡している。表情はよく見えなかったけれど、焦っているようにも、何かを怖がっているようにも思えた。
「……二色くん?」
足を早めその人物のもとに行き声をかけると、彼はビクッと大きく肩を揺らし後ずさった。
驚いて声が出ない……みたいな感じなのだろうか。何度も目を瞬かせわたしを見つめている。
口がぽかんと開いていて、ちょっと間抜けだ。



