二色くんと夜のせい





いつもはクールな綺春くん。

こんな風に走っているところも息切れしているところも、拍子抜けしたような顔も、あんまり見たことがないからなんだか新鮮な気持ちだ。

……なんて、そんなことを思っていても、声に出したらきっと綺春くんは呆れて怒るだろうから言わないでおくことにした。



「今の人達……ナンパじゃなかったの?」

「そのつもりだったみたいなんだけど、応援してくれたの……だから良い人だと思う」

「いや全然わかんない……」


わたしも、こんなことってあるんだなぁってまるで他人事のように思っていたから、綺春くんの気持ちもわかる。

くしゃくしゃと髪を掻き、綺春くんはまた息を吐いた。大きめのため息。安堵の意味と呆れの意味だ。