それから、初対面の三船先輩とアオちゃんがお互いに軽く挨拶を交わして、ダブルデートがいよいよスタート。
目的地である遊園地の最寄り駅までは、電車で30分。乗り込んだ電車の中は、土曜日だからか人が多くて密になっていた。
「わっ……」
「チッ」
電車が揺れ、体幹がないわたしは近くにいるおじさんにぶつかってしまって舌打ちをされた。うう、怖い。
通学には徒歩を使っているから電車に乗る機会は結構少ない。おまけに人混みはあまり得意じゃないから……正直ちょっと辛いけど、我慢しなきゃ。
隙間に人が入ってくるから、かろうじて綺春くんは隣にいるけれど、アオちゃんと三船先輩はもうすっかり遠くに押しやられてしまっていいる。
二駅だけ耐えれば大きな駅に着く。そこでだいたいの人が降りるからあとは遊園地の最寄り駅までは座れると思うけど───……。
駅に停車してドアが開き、吹き込んだ風に救われながら、そんなことを思っていた矢先。
「木嶋さん、こっちおいで」
「え、っ」
手首を引っ張られて、一気に強くなった綺春くんの柔軟剤の香りに、心拍数が上がった。



