ちなみにアオちゃんに送った文章の8割を考えたのは綺春くんである。

わたしは綺春くんに 「木嶋さんらしい文ひとつ入れて」と言われたから、「恋心が暴走しちゃうかもしれないから」という一文を添えたというわけである。



『綺春くん……よく思いつくなぁ』

『こういう文章とか、よくあるパターンじゃない?』

『ええぇ、そうかなぁ……』

『……木嶋さんからの連絡って単語とビックリマークばっかりで送られてきそう』

『そんなことないもん……』

『一時間ごとに好きって送ってきそうだよね』

『そっ……んなことないと思う……、ていうか、わたしまだ綺春くんの連絡先知らないもん……』

『知ってたら送るの?』

『わ、わかんないけど、でも気持ちは直接伝えたいから電話したくなっちゃうかも』

『ふうん』

『なんですかその意味深な「ふうん」は……』

『じゃあ一応、どーぞ? 』



そう言われてQRコードを見せられたわたし。

自分のともだちリストの中に『二色 綺春』がいる事実にドキドキする夜は、好きって気持ちが溢れそうになって直接言いたくなっちゃったけど、変に緊張して電話する勇気はでなかった。



はやく会いたい、顔を見て好きだと言いたい。

綺春くんへの気持ちを改めて自覚した、すこしだけトクベツな夜だった。