「それはそうと、木嶋さん、なにか案はあるの? 戸羽さんと椿が話せるようなタイミングとか」
綺春くんの言葉にわたしは首を横に振る。
アオちゃんと三船先輩の接点は未だゼロ。
三船先輩とは学年違うから、一緒に下校したりするくらいしか案が思いつかないけど……アオちゃんは陸上部のエースで、生粋の部活女子。
わたしと違って毎日忙しそうだ。
アオちゃんと一緒に帰れるのは週に一回の定休日と、テスト期間とかイベントごとの日だけだから、わたしもウキウキしちゃう。
うーん……と唸るわたしに、「あ」と綺春くんは思いついたように口を開いた。
「4人で出掛けるとか」
「え」
「最初から二人きりにするのは戸羽さんもしんどそうだし。木嶋さんがいた方が安心でしょ。追追ふたりの時間作ってあげればいいんじゃない」
綺春くんからまさかの提案。
「よ、4人っていうのは……アオちゃんと三船先輩と、わたし……と、」
「……おれ?」
だって綺春くん、それってつまり────……
「……だ、ダブルデート……?」