二色くんと夜のせい






「お……お邪魔しま……す」

「うん。どーぞ」


あっという間に家に着いた。自宅のすぐ隣。

同じマンションだから家の中の造りはだいたい同じなはずなのに、自分の家じゃないだけで全然ちがう場所にも思える。


綺春くんからいつも香るやわらかい匂いが鼻を掠めて、それだけできゅんとした。



綺春くんに促されるままに玄関を抜け、リビングに通される。



「ただいま、チョコ」

「チョコちゃんはじめまし……」



ソファでゆったりしていたとみられる三毛猫のチョコちゃんは、綺春くん───の隣にいるわたしの姿をとらえるやいなや、首元の鈴を鳴らして部屋の隅に逃げてしまった。


……警戒されてるみたい。

あからさまに逃げられてシュン…と肩を落とすと、「人見知りだから気にしなくていいよ」と綺春くんになぐさめられる。