堂くん、言わないで。



男の人は堂くんを見て、一瞬うんざりしたような顔をした。

そしてすぐにへらりとした笑みを浮かべて、なんとか堂くんの手を躱そうとしている。


堂くんは真剣な表情でなにかを言っていた。



ここからじゃ内容までは聞こえなかった、けど。


わたしの頭のなかで再生されたのは、お昼やすみでのルナちゃんたちの会話だった。



“聞いた?この前、堂恭花がケンカしてたらしいよ”


“歓楽街で2組の女子が見かけたんだって。なんでもイケメンに突っかかってたらしいよ。金がどうとか死がどうとか、話してたっぽい”



わたしはひりつくような思いで、ハラハラしながら様子を見ていた。



っぽいことになってるよぉ……!


それらしい言葉もたしかに聞こえてきていた。

じっと目を凝らして、堂くんの口の動きに注目する。


そのとき、たしかに唇が動いた。





──────“死んだ”、って。