「えっと、な、なつめくんは元気?」
わたしがそう訊いた瞬間、視界の端で堂くんがぴくりと反応した。
なんだろうと目を向ける。
目が合うと、じろりと睨まれそのまま顔を逸らされた。
え、な、なんで睨まれたの……?
『元気だよ。みくるちゃんと話せてもっと元気になった』
「あ、えっと……ありがと」
なんだか纏うオーラまで黒くなったような気がして、また小声になってしまう。
そのあとすこし他愛のない話をして、棗くんが本題に入るように話題をかえた。
『明日から夏休みじゃん?』
「ん、うん。そうだね」
『学生の本分は遊ぶことじゃん?』
「うん……?そうだね……そう、かも?」
学生の本分って勉強じゃなかったっけ、
と思ったけれどそのまま流されるようにうなずく。
『だから夏祭り、一緒に行こうよ』
「う……う?」
もうすこしでうんって言ってしまいそうになった。



