それから数日後。

わたしは図書室の掃除をしていた。


堂くんにも手伝ってもらい、順調に進んでいたんだけど。


「ひぅっ……!?」

「は……なに?」


びくんと身体を揺らしたわたしに、すこし離れたところで本を整理していた堂くんが怪訝そうな目を向けてくる。


ごめんと謝りながら、ぶるぶる振動しているそれをポケットから取り出した。




「つ、通話きた!」

「通話ごときで変な声出すな」

「だって、いきなりだったから……」


それにわたしのスマホは滅多に震えない。

どきどきしながら画面を見つめると、そこには“柏木棗”の文字。



「出てもいい?」

「わざわざ許可とらなくても。勝手にすれば」


堂くんは興味を失ったように、また作業に戻った。

わたしは「ありがとう」と小声で言って、通話ボタンをタップした。