「でも、なんでみくるちゃんひとりで運んでたの?葛西たちは?」
「ルナちゃんたちは……忙しそうだったから」
「そ?俺がさっき見たときはみんなスマホ見てたけどねー」
「……」
わたしのときもそうだったとは口が裂けても言えない。
声をかけるのに躊躇して、ひとりでもいけるだろうと高を括って。
それで結局、ひとりじゃ運びきれなくて柏木くんに手伝ってもらってる。
「……バカみたいだよね」
「んー?」
「自分がどう思われてるか、そればっかり気にしちゃう。すこしでもいいように思われたくて、にこにこしてばっかりでいちゃう…の」
自分の足元を見つめながら、ぽつりぽつりと話す。
横に並んで歩いている柏木くんは、わたしに歩く速度を合わせてくれている。
その何気ない優しさが、彼が人気者である理由を物語っているようだった。



